時代の「変化」に合わせて「進化」していく。 というより、そうじゃなきゃだめだと思って。 うん、アップデートし続けるのが大事だと思いますね。/LIFE IS PÂTISSIER 店主 太田 悠一
LIFE IS PÂTISSIER(ライフイズパティシエ)
店主 太田 悠一
仕事への愛にPRを掛け合わせれば「POWER」になる、をコンセプトにした「LOVE×PR=POWER」プロジェクト。第1弾は、今年1月にオープンしたばかりの自由ヶ丘の人気ショコラトゥリー「LIFE IS PÂTISSIER((ライフイズパティシエ/以下L.I.P)」オーナー兼パティシエの太田 悠一さんにインタビュー。商品の作り手が販売・接客まで一気通貫して行うことで、「コミュニケーション」を付加価値とした新しいパティスリーを目指したお店で、お年寄りから子どもまで幅広く親しまれているお店です。そんな、お客様との「コミュニケーション」を重視してきたL.I.Pが、このコロナショックの中で今どのようなことに直面し、これからどのように進もうとしているか、聞いてきました。
■コロナが変えたこと、変わらないといけないこと
―太田さん、こんにちは。単刀直入に聞いてしまいますが、コロナウィルスがここまで拡大して、今お店はどのような状況ですか?
太田:いやあ、ほんと厳しいですね。そもそも街に人がほとんど歩いていないです。
―もともとはお客様との「コミュニケーション」を大切にした対面を重視した店として開業されて。今年の1月にオープンした当初は行列が途絶えないなど、好調でしたよね。いまのこの状況の中でどう考えていますか?
太田:そうですね。真逆にしていかないといけないなって。最近ずっと思っています。
―真逆?
<2020年1月オープン時の様子。連日行列が続いていた>
■「東京中心」を忘れないといけない
太田:そう。真逆に。これまでだったら何の疑いもなく東京って場所が価値になって人が集まっていた。でもこれからはそうじゃなくて、東京から「地方」に発信していかないと、東京は多分やっていけないんじゃないかって思って。だから、逆にいいものをどうやって地方の人たちに知ってもらうかっていうのが、今の自分には一番のテーマになっています。これからの時代、東京が過疎化されて、逆に地方に人が集まってくるんじゃないかと思っています。
―と言うと?
太田:首都に人口が集中しすぎて、日本人が1千年かけて、都市中心型の繁栄する方法を作ったことが仇となり、こうして今のコロナウィルスの感染拡大という状況があるわけで…。俺が思うにコロナ、1年半は収束しないと思うんですよね。そんな中で、この先人類がどうやって生きていったらいいか、って考えたときに感染しにくいシステムを急速に導入していかなければいという状況に今なっている。テレワークとかもそうですけど、これから日本でそういうものがもっともっと導入されていって、無駄のない生き方・暮らしが主流になっていくと思います。
―どんどん本質的になっていくと?
太田:そうです。だから、そうなったときに、自分が持っている「お菓子」というツールは、どうしていったらいいのかって考えていて。だって、今までだったら自由ヶ丘に出していれば売れると思っていたのに。でもそれはもう間違いで、ってなってしまった。でも、だったら、ここから早い段階で自分の思考を変えていかないと、まずいことになるんじゃないかと。なので、そういう意味では、うちは自分ひとりでなにもかも全部やっているから、ましてや企業じゃないんで、そこは簡単にシフトできるかなと思っていて。だから、その第一弾として、「完全予約制」での販売をスタートしました。
<緊急事態宣言下のいま、完全予約制とオンライン販売を強化中>
■それでも、「コミュニケーション」をあきらめない
―完全予約制というのは?
太田:事前にSNSや電話でご予約いただいたお客様のみ、販売しています。しかも一日16組までお受けしていますが、毎回1組ずつご入店いただき、アルコール消毒の除菌と次の方の入店時までに換気を徹底しています。
-お客様の反響はどんな感じですか?
太田:悪くない、というより少し新しい手応えを感じています。一日平均して12組はいらしていただいています。同じく始めたばかりのオンラインストアでの販売も、8割がリピーターで、もしかしたら、これから先のコミュニケーションの可能性を感じ始めています。いまはもう、顧客との絆を築く期間と切り替えました。で、先ほどの続きですが、それから次の第2弾として、自分の夢は、どうやったら、自由ヶ丘のお菓子を東京じゃない人たちに届けていくか、という課題を今やろうとしている、やっている途中ですね。
-ちょっとわくわくしてきますね。
■仕事は「いろいろ考える時間をくれるもの」
―太田さんにとって「仕事」ってなんですか?
太田:なんですかね。「いろいろ考える時間をくれるもの」ですかね。人って生きるためだったり、誰かをしあわせにするために働いているというのが根本にあるとするじゃないですか。で、働くことの対価としてお金がある。
そう考えたときに、要はお金って、人との「信頼性の価値」だったりするわけですよね。そしてその人を信用して払っている対価ということであって。だったら、その「信用」が「武器」になるんじゃないかって思って。それが僕の場合は店を開くということにつながっていった。で、その信用はどうしたら得られるのかな、ということを、考えたり勉強したりするのが、自分にとって「仕事」なのかなって。
うん、「考える」ってことですかね。僕にとっての「仕事」は。だから、本当のことを言うと、コロナ(によって、飲食店が危機的状況にさらされていること)があったことは、決して僕にとってはすべてがマイナスではないんですよ。
■今だからこそ、自分だからこそできるものができる
太田:まあ、仮にコロナがなくってあのままオープンしてから順調なまま進んでいたら、僕はあの場所でそれ以上考えることなくあの店だけをやっていたかもしれない。これからもいろいろな飲食店がきっともっと厳しい状況になっていくと思うんですね。でも、そんな中で何にもせずにいるよりは、自分はせっかく一人でやっているのだから、誰よりも早く動ける環境下にあるじゃないか、だったらそれを逆にチャンスととらえて、今は「自分だからこそできるものが今自分にできるんじゃないかっていう時間」なんじゃないかって思いはじめてきて(笑)。
<LIFE IS PÂTISSIERという店名には「好きなことをして生きていく」という意味が込められている>
―太田さんだからできる新しいことを。
太田:なので、今は無理して店を開けるよりも、お客さんの安全を第一に考えながら、じゃあどうしたらいいかって、何かいいやり方、いい方向性を「考える時間」ですよね。うん、そういう「考える時間をつくる」ってことに、今のこのコロナの時期は特化しようと思っていて。
―一見マイナスに見えることも、実はプラスなのかもしれないと。(笑)面白いですね。
太田:まあ、面白く生きようとは思っているんで(笑)。
―ともに面白く、生き延びていきましょう(笑)。
太田:そうですね。これで生き残ったら、というか、「変われたら」勝ちだと思うんで。まずはここを生き延びること。それができたら、自分のお菓子、このLIFE IS PÂTISSIERというお店を東京の自由が丘から地方に広めていって、最終的には世界に広めていければいいと思う。うん、いつか世界に向けて発信していけたら面白いな、とは思っています。
■時代の「変化」に合わせて「進化」しつづける
―最後に。太田さんが自分の仕事で一番大切にしていることは何ですか?
太田:進化しつづける、っていうか。「形をとどめない」っていうのが一番大事かなって思っていて。
―形をとどめない?
太田:そこに「LIFE IS PÂTISSIER」があるだけであって、業態は次々と進化していく、時代の「変化」に合わせて「進化」していく。というより、そうでなきゃだめだと思っているんで。うん。進化=アップデートしつづけるのが大事だと思いますね。
―固まらない、ってことですね。ロックバンドみたいですね(笑)
太田:はははははは(笑)。あとは世の中で面白いことをしている人たちを調べるのが好きです。
―太田さんもその一人ですしね。
太田:そういう人になれるようにがんばっていきます(笑)。
<終>
LIFE IS PÂTISSIER
『作り手とコミュニケーションができる新しい考え方のパティスリー』
商品を「どのように説明しどのようなコミュニケーションを取るのか」ということも、
お客様が「この商品を買いたい」と決断するうえでの重要な『付加価値』になりうるのだという手応えを実感しました。自分の店は、商品力と同等、あるいはそれ以上に、お客様にとって会話や居心地の良さ、コミュニケーションといったお土産を選んでいる楽しさという『体験』そのものを提供できるパティスリーを目指していきたいと考えています。
ADRESS:世田谷区奥沢6-33-14 第一大塚ビル 103 /自由が丘駅 徒歩 約5分
TEL:080-4770-8309
太田 悠一(Ohta Yuichi)
神奈川県出身・1986年生まれ
ケーキ屋4年、レストラン3年、ショコラティエ6年。
Q.E.D.CLUB(レストラン)、(株)フランセコンフェクショナリー(ケーキ)他にて修行。マルシェやポップアップストアでの実験的な出店を経て2020年1月に、
“好きを仕事に”という想いを表現した焼き菓子とチョコレートを主力商品にした
初の実店舗「LIFE IS PATISSIER(ライフ イズ パティシエ)」を自由ヶ丘にオープン。
<インタビュー聞き手・監修> WORKING FOREVER
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